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クラフトの原点は織物細尾が「日本の美しい布」展をミキモト銀座本店で開催

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京都・西陣織の老舗・細尾が、ミキモト銀座4丁目本店7階のミキモトホールで「THE STORY OF JAPANESE TEXTILES『日本の美しい布』」展を開催している。会期は2019年1月27日まで。12代目の細尾真孝・常務執行役が15年から日本各地の染織の産地を訪ねて写真で記録したものを、150cm幅の織機に張った9000本の白い糸に映すインスタレーションで表現した。

 糸に映すユニークな方法について細尾常務取締役は「シルクが持つ光沢を生かし、そこに映像を映すことで白い糸が染められるストーリーを考えた」と語る。150cm幅の織機は、細尾が「シャネル(CHANEL)」「エルメス(HERMES)」「ディオール(DIOR)」といったラグジュアリー・ブランドにインテリアファブリックを供給するために開発した織機の幅でもある。「織物はクラフトの原点であり、古くは体を織機代わりにして織っていた時代もある。今回の展示では、原点に立ち返りつつ、未来につながるような表現をしたいと考えた」。

 細尾は西陣織の生産だけではなく、日本全国の織物の問屋業もしている。「私自身西陣織以外よく知らなかった。そこで15年から毎月1産地を回るプロジェクトを立ち上げ、土地の風土や歴史、そこに暮らす人々の気風などが色濃く反映される織物を写真で記録してきた」と語る。「京友禅」「越後上布」「大島紬」「紅花染」など25カ所5000点の写真の中から、今展では250点を選んで糸に投影した。例えば「越後上布」は「雪深い北陸の風土と季節を映した美しい布。3月の晴天の朝、まっさらな雪原の上に織り上がったばかりの『越後上布』が並べられる。その“雪ざらし”は、越後の春の到来を告げる風物詩でもある。糸に付着した不純物を洗い流し原料の苧麻(ちょま)の色を抜き、真っ白な反物になる」という。今回の展示では全国25のストーリーが映し出される。